今回は、永遠の花をイメージした香りです。
香楽で作った香りのデッサン
「香楽®(こうがく)」とは、山下文江先生が開発された、「香の具®」という香りの絵の具をつかって、イメージの世界で絵を描くように香水をつくることができるツールです。
香楽について知りたい方は、こちらの記事をどうぞ→香楽とは
では、香りの制作ノートをご紹介いたします。
※香楽を学んでいる方の自由なイメージの妨げにならないように、香の具®ナンバーは伏せ、香りを視た順番で表記しています。
香りの名前
永遠の花
香りのテーマ
香りのイメージ+色や絵を描いてみる
香りの制作について
制作No.12
2008年7月
香の具®使用本数 5本
1番目の香りのイメージ
あたたかみとぬくもり。
強い香りが脳を包み込む感じ。
少しさわやかがあり、みずみずしく、葉から滴がしたたり落ちる感じ。
長い髪の女性。(ふわふわで茶色い髪)
中世ヨーロッパの庶民の女性のような、長いドレスにエプロンをしている。ドレスは深いグリーン、普段着で着古している感じ。
働き者で優しい雰囲気なので、色んな人から人気がある。
アイルランドのような場所。薬草、ハーブがたくさんある。
この女性は南国に憧れている。
ヒーリングの力があって、病んだ人や傷ついた人を癒したりしている。
空気は湿っていて、重苦しい感じ。
草や大地の香りがうっすらとある。
(甘くてしっとりした匂い)
彼女がハーブなどを使って作る薬や化粧品はどれも良い香りがして、効き目も素晴らしいので、大勢の人が家にやってくる。
2番目の香りのイメージ
美しく気高い、気品のある女性。
少し冷たい感じがあるけど、だんだん優しく温かくなってくる。
日傘をさしている。色白で、金髪。
ゴージャスなお城に住んで、きれいなキャンドルやポプリや服、帽子などたくさん持っている。
お風呂も良い匂いの花で埋め尽くされている。
たくさんの花束が毎日届く。
この女性は、1番目の香りで見た女の子のお姉さんで、性格は正反対。
結構派手で、遊ぶのが大好き。
庭園がすごく広くて、緑も花もいっぱい。
噴水もあって水の音が心地良い。
風も吹いていて、さわやか。
レースや刺繍の綺麗なハンカチやドレスを着ている。
妹とは、子どもの頃以来、あっていない。
モテるけど、独身。
水色と白の組み合わせ。
白くてふわふわのペルシャ猫を飼っている。
2人の姉妹は、見た目(と雰囲気)はだいぶ違うけど、顔はそっくりの双子。
3番目の香りのイメージ
カゴに白い花がたくさん詰まっている。
甘くて酔いそうな香りが立ち込めている。
しばらく会っていない人から届いた、手紙の紙の匂い。
南国の海のそばにある家。
ココナッツオイルを使ったマッサージ。
ゆったりした時間。気持ちよくて眠ってしまいそう。
蒸し暑いけれど不快なほどではない。
月明かりの夜に、メッセージの入った瓶が流れてきた。
手紙は水が入ってにじんでしまったために、ほとんど読めない。
手紙にはきれいなピンクと白の花びらが一緒に入っていた。
(このメッセージボトルを拾ったのは、近くに住んでいる犬で、その犬を可愛がっている飼い主のところへ持っていき、その子が手紙を見た。
女の子は、7~8歳で、南国の島の地元の子。)
4番目の香りのイメージ
ラピュタのような空中庭園。
天国のような場所。
雲の上にある。空中に地上と同じ自然(山、森、海、川など)が再現されている不思議な場所。
ありとあらゆる植物がある。絶滅種のタネも保存されている。
その場所の一番奥(中心)には、巨大な図書館があって、不思議な良い匂いのする本が天井まで、ものすごい数がそろっている。
そこで、本の番をしている新人の男の子は、興味津々でいろんな本を見て回るけど、本はどれも金色のキラキラした文字(読むことはできない)で書かれていて、内容を知ることはできなかった。
まったく白紙の本もたくさんあった。
ある時、少年は自分の名前が書かれた本「lilas」を見つける。
ドキドキしつつ見てみると、今まで自分が歩んできたことがすべて書かれていた。ちょうど「自分の本を見つける」というところまで読むと、次は白紙になっていた。
しばらく白紙のページをながめていると、だんだん2人のよく似た女性の顔が浮かんできた。
そして、ピンクと白の花びらも浮かんできた。
この花びらをみると、少年が小さい頃に植物保管の担当だった時、間違って下の世界へ落としてしまった、永遠に枯れることのない花のタネから咲いた花びらであることが分かった。
この2人の女性が何かヒントを持っているのでは、と思って下の世界へ降りる決意をする。
非常に貴重な花の種をなくしてしまったので、少年は何とかして取り戻せないかと、常々悩んでいた。
なので、この機会がとても嬉しかった。
少年は、下の世界への扉を開ける。
5番目の香りのイメージ
さわやかな風が吹いている。
なにか新しいことが起こりそうな予感のする朝。
昔、ある女性が1対の種を拾った。試しに植えてみると、2つの芽がからまりあって、ひとつの枝になり、やがて花が咲いた。
その花は、どんなに長く時が経っても枯れることなく、咲き続けた。
女性には3人の子ども(三つ子)がいた。
けれど一人の男の子が病弱で、夫が南国に良い医者(というかシャーマンのような呪術師)がいるというので、男の子を連れて行ってしまっていた。
女性は残る2人を育てた。
庭に植えた花は、不老不死の力があるのでどんな病気にでも効くのではと思って、男の子に飲ませたいと思ったが、通信手段がなくもう生きているのかどうかも分からなかった。
そこで、ビンに手紙と花びらを入れて流すことにした。
実は、夫と男の子は、南の島につく前に、船が壊れ沈んでしまって命をなくしてしまっていた。
2人は天国のような場所平気、のんびりしたり好きな仕事をしたりしていた。
4番目の香りで見た少年がその男の子で、彼が種を落とし、その母親が拾って育てていたのだった。
母親は、船が遭難していたことを聞いたショックで、間もなく亡くなってしまった。
***
母の墓前で、姉妹は久しぶりに再会した。
2人はそれぞれ形見のペンダント(ロケット)を持っていた。
中を開けてみると、ひとつずつ小さな種が入っていた。
2つを合わせてみると一つになった。
そこで、突然光が差して、目の前に少年が現れた。
「その種を返して頂けませんか?」
姉妹はびっくりした。
少年は自分たちの幼い時の顔にそっくりだった。
***
事情を聴いて、少年に種を渡した。
少年は丁寧にお礼を言い、上の世界でこの植物の再生に成功したら、ふたりにあるプレゼントをします、といって、光の中に消えて言った。
少年を見送った後、姉妹は涙が止まらなくなってしまった。
彼は自分たちの弟だと思ったけれど、信じられずにいた。
***
そして一年後
二人の姉妹の20歳の誕生日(クリスマス頃で、雪が降っていた)
二人がお祝いをしようとすると、空からピンクと白のきれいな花びらが雪のように降ってきた。
二人の姉妹は嬉しくなって、いつまでもその光景を見ていた。
バラバラになっていた3人の子どもを巡って、ある不老不死の花が、再びひとつにつなぎ合わせる。
永遠の花の物語。
少し切なく、はかない感じのする香り。
クライマックスの盛り上がりが少し足りない感じがするので、最後の香りを少しだけ追加。
すると、最後の花が雪のように舞い降りてくる様子が見えてきた。
手首につけて体温が加わると、二人の姉妹と庭園、手紙と再会と、シーンが順に見える感じ。
香調
フローラルブーケの香り
ノートを書き起こしての感想
今から6年前と、かなり初期に作った香りです。
この回も、自然と物語ができていて、レインボーアイランドの香りと同じ女の子が登場していたのが新たな発見でした。
なかなかイメージと合う画像が見つからず、残念です(・_・;)