今回は、ウッディを活かした香りとして、北欧の国フィンランドをテーマとした香りです。
香楽で作った香りのデッサン
香楽について知りたい方は、こちら→香楽とは
では、香りの制作ノートをご紹介いたします。
香りの名前
Finland
フィンランド
香調
ウッディフローラル
さわやかな樹の香りを基調とした、徐々にやさしく甘く変化する神秘的なウッディフローラルの香り。
香りのテーマ
新しいウッディの香りを活かした香りを作る。
香りの制作について
制作No.86
2009年6月7日
香の具®使用本数 14本
※香楽を学んでいる方の自由なイメージの妨げにならないように、香の具®ナンバーは伏せ、香りを視た順番と、香りの名前で表記しています。
1番目の香りのイメージ
木の皮を剥いで、そこから出てくる樹液のような香り。そのあと、アンバーグリスに少し似たようなコクのある香りになる。変化する香り。
北欧のとても寒い土地のサウナで、湯気の中で木の葉をひとまとめにして体を軽く叩いたり、雪の積もっている外へ出たりする昔ながらの風習(健康法)が、そのまま現在へ続いている。
最初は青臭い香りだけど、肌に残った残香はやわらかく、甘く優しくなっていくイメージ。
(ウッディ)
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→調べてみると、
フィンランドではサウナに入浴した時、白樺の葉が付いた枝で体を叩く習慣がある。筋肉のマッサージ効果やサウナ内の空気をかき回したり、体を叩くことで熱気(ロウリュ)を敏感に感じたり、白樺の葉の殺菌効果等様々な良い効果がある。
この習慣の起源は2000年頬前のサウナ発祥時から存在している。
この白樺の束の名前はヴィヒタ(vihita)という。
昔はヴィヒタは魔法の枝と考えられていて、枝を振り回して悪魔を追い払ったり、幸福を呼んだりと、儀式的な意味があった。
・ロウリュ(Loeyly)とは
熱されたサウナストーンに水をかけて発生させる蒸気のこと。この蒸気には白樺の薪を通じて森の精が宿っていると考えられてる。
サウナに使われるすべてのものが大地より出たもの→サウナストーン(石)はスオミ(フィンランド)の大地から、白樺はスオミの森から、水はスオミの湖から・・・これらすべてがスオミの自然がもたらす恵みと考え、神聖視されている。
・フィンランド(Finland)
「フィン人の国」という意味。スオミとは(元は一部の地名だった?)フィン人の自称。
フィンランド語での正式名称:Suomen tasavalta(スオメンタサヴァルタ)→通称 Suomi(スオミ)
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※この時ちょうどフィンランドのバンドLeave’s eyes音楽を聞いていたので、調べていて嬉しくなった。
2番目の香りのイメージ
厳しい冬が終わりに近づいて、新しい春の蕾が土の下で芽を出すのを心待ちにしている時のような気持ち。そして最初に出た目の優しい淡い色のグリーン。
(ベルガモット)
3番目の香りのイメージ
雪に反射した強い光。ちかちかと目に当たる感じ。
まぶしいけどすごく綺麗。
白銀の世界で光がまたたいているイメージ。
(グレープフルーツ)
4番目の香りのイメージ
風で波立っていない川か湖の上を光が滑っていくようなイメージ。スーッとなめらかに飛んでいる。
(ライム)
5番目の香りのイメージ
綿のように積もった雪の表面をなでる感じ。手にふわふわと雪がくっついて溶ける。もしくは暖かい室内から外の一面の雪の白を見ている感じ。
温かい体温のような温感がある。
(フローラル)
6番目の香りのイメージ
雪のひとひらに宿る精霊のよう。
姿は見えないけど、優しくて温かみのある可愛らしい女の子のような精霊。
(ローズアブソリュート)
7番目の香りのイメージ
アイスブルー。氷河の氷が神秘的に青みがかっている、吸い込まれそうなあの色。やがて解けて氷になって川から海へ流れていく。
(ミュゲ)
8番目の香りのイメージ
赤い色の、厚みがある丈夫な織物のような民族衣装。寒い地域でも大丈夫なようにすごく温かい生地。
民族の誇りとしての紋章も織り込まれている。
(リラ)
9番目の香りのイメージ
フィンランドに吹く風。
雪や雨と共に吹いたり、霧を運んで来たり、春の温かい空気を運んで来たり、短い夏に吹いたりするさわやかな風。
いつもフィンランドを包んでいる風のイメージ。
(ゼラニウム)
10番目の香りのイメージ
夏の間に大地が緑で埋め尽くされる。カラッとしている夏の森。
最初のウッディの青っぽい香りとも合いそう。乾燥させたヴィヒタ。
(ラベンダー)
11番目の香りのイメージ
長い冬の間、春が来るのを待ちわびているような気持ち。
そして春が来て、夏が来て、過ごしやすい季節を楽しんでいる感じ。
(ミモザ)
12番目の香りのイメージ
朝食にカシスや北欧のベリー系のジャムなどで、パンやケーキを食べるイメージ。
それか夜に飲むアルコール度が高そうなお酒。
カシスとかの甘くておいしい味。
みんなで食べたり飲んだりして、心も温かくなって幸せな香り。
(カシス)
13番目の香りのイメージ
フィンランド、北欧といえば、バイキング。
伝説的な英雄がいたり、血の気の多そうな男性が多い感じ。
(ムスク)
14番目の香りのイメージ
昔から伝わる古い古い地図のようなイメージ。
羊皮紙のような皮に書かれていて、宝のありかを指示している。
その地図を使っていた代々の想いを受け継いでいるようなイメージ。
(カストリウム)
最初のウッディのイメージ、白樺の葉の束ヴィヒタにしようかと思ったけど、フィンランドの雪と緑の国というような大きなイメージの方が良さそうな感じ。
バイキングの時代から現代へ続いているフィンランド。
神々、精霊、妖精もたくさんいそう。
一見静かな大地だけど、感覚を研ぎ澄ますとたくさんの精霊や神聖な存在が息づいているような、不思議で神秘的な香り。
ただ「寒い所」という感じではなく、人々の温かさとか動植物も一緒に生き暮らしているという感じの、生命感がある。
この香りに包まれて眠ったら、すごく安心できそう。
そしてヴィヒタのイメージが悪い邪気を払ってくれそう。白樺の森にいるみたい。
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※この香り、5年経った今でも良い香りです。熟成してなんだか安心感が増しています。
ショップに並べたい香り。
ただいま準備中です。