香水をシュッとつけて、
軽やかに煌めくトップノートを楽しみ、
雄大で華やかなミドルノートを堪能し、
優しくあたたかいラストノートに包まれる。
時間とともに移りゆく香りを楽しむのは、日本の四季を楽しむように感慨深いものです。
そして、香りには「消える」美しさがあります。
ほのかに香って、気がついたら消えている。
しかし、つけた場所(手首など)に鼻を近づけると、ラストノートがそこにいるんです。
音楽と同じように、終わりがあるから感動する。
自らの体臭は消臭して、強く長く香る香りをまとうというのは、最近の風潮なのかもしれません。
しかし、人から持続して香る良い香りって、結局のところ自分の「体臭」しかないんじゃないかなと思います。
つけた香りは消えてしまうし、強い香りをつけたって、結局鼻がマヒして自分では分からなくなってしまいます。
体臭は、DNAと、体を守ってくれる微生物たちと、食べたものとのコラボレーションです。
つまり、生きている証なんです。
汗の匂いは洗えば消えるし、日本人は体臭が少ない上に綺麗好きなので、そんなに毛嫌いしなくてもいいんじゃないかなーと思います。
そして、体臭にのせる形で香らせるのが、香りの芸術「香水」です。
人間はお花はあまり食べませんし、100本のバラの花束をいつも抱えているわけにもいきません。(笑)
魅力的な植物たちの生命の香りは、香水でまといましょう。
花が終われば香りも終わる。
香りは消えるもの。
だから美しいんです。