イメージの全体像と処方を決める
イメージが見えたら、いよいよ完成に向けて進みます。
一番気に入った香の具のイメージを主役にして、全体のイメージを描きます。
ここで注意することは、
必ず、ひとつひとつの香の具で見えたイメージから組み立てる、ということ。
全体のイメージを描く時に、新たなイメージをたくさん付け足してしまうと、仕上がった香りとイメージがちぐはぐになり、「何かが違う」と感じる原因になってしまいます。
私は、香楽を知ったばかりの頃はイメージを見るのが楽しすぎて、どんどん新しいイメージを開発してしまい、最終的なイメージを統合する「まとめ」の段階までも、新しいイメージを書き足してしまっていました。
そして、「なんか違うかも?」の連続を味わいました。
自分で原因に気がつくまでに結構な時間がかかりました(笑)
しかし、そのことに気がついてからは、香りとイメージがピタリとはまり、もっともっと香りの世界に魅了され、楽しくなりました。
誰もが同じつまづき方をするとは限りませんが、「最後のイメージをまとめる段階は、あくまでもひとつひとつの香の具で見えたイメージから組み立てる」ということをしっかりと押さえておいて欲しいと思います。
全体のイメージの構成例
イメージは本当に自由でいいのですが、あくまでも簡単な一例としてお伝えします。
香の具から、下記のようにイメージしたとします。
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香の具No.101
白い帽子と白いワンピースを着た少女が、楽しげにほほえんでいる
香の具No.102
淡いピンクの花束、リボンもピンク色。心がときめく
香の具No.103
さわやかなそよ風、透きとおるような青空、気持ちがいい天気
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このようにイメージをスケッチしたとします。
ここから、全体のイメージを描いていきます。
見えたイメージの中から、一番好きなイメージを主役にします。
好きな順番に多く配置していくと、イメージと香りがぴったり合いやすくなります。
<例①>No.101が一番好き
女の子の笑顔が前面に。花束を抱いていて、背景に青空が少し。
きもちのいい風が感じられます。
絵が決まったら、必然的に処方も決まります。
全体の絵を100%として、空間を占めているイメージをパーセントに直してみます。
香りの処方の例
香の具 %
101 → 60%
102 → 25%
103 → 15%
合計 100%
<例②>No.102が一番好き No.101はそうでもない
花束をメインにします。風が花束を揺らしています。
女の子は遠くにかすんで見えます。
香りの処方の例
香の具 %
101 → 10
102 → 55
103 → 35
合計 100%
<例③>No.103が一番好き No.101とNo.102は同じくらい
気持ちの良いそよ風と広大な青空がメインです。
遠くで花束を持った女の子がほほえんでいます。
香りの処方の例
香の具 %
101 → 18%
102 → 12%
103 → 70%
合計 100%
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なんとなく、香楽で処方を決めるまでのイメージを掴んで頂けましたでしょうか?
全体のイメージと処方は、写真の構図を決める時のように、これだ!という構図を切りとりましょう。
ひとつひとつイメージを詳しく見ればみるほど、全体のイメージも細かく描けるようになり、処方もこだわりをもって数字を決めることができるようになります。
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香りに名前をつける
処方が決まったら、次は香りに素敵な名前をつけます。
例の香りには、こんな名前がつけられるかもしれません。
<例①>夢の中の少女
<例②>初恋の花束
<例③>すきとおる風
あくまでも簡単な一例ですが、あなたが描いたイメージに、ぴったりくる名前をつけましょう。
また、日本語だけでなく、英語やフランス語、ドイツ語、イタリア語でのイメージはどうかなど、色々言葉を探してみても楽しいです。
描いたイメージにしっくりくる言語、フレーズを探してみてください。
イメージと名前と香りがピタリとはまった時は、本当に感動しますよ。
何かが違う?と思ったら
「仕上がった香りと、イメージがどこか違う・・・」
そう思った時には、必ずイメージを見直してみましょう。
イメージと香りを照らし合わせて、
・もっと女の子の存在を際立たせたかった
・もっとピンクの花束を感じたかった
・もっと風を吹かせたかった
など、足りないと感じる点や、
・女の子が目立ちすぎる
・花束しか見えない
・風と空しか感じない
など、多すぎると感じる点を微調整します。
すると、思った香りに近づきます。
修正する時は、前の処方を消さず「どこをどう直したら、どう良くなったのか」をきちんと記録しておきましょう。
★何度も香りを作るうちに、香りの配分とイメージとのギャップが少なくなってきます。